恒例の「恐ろしさ」シリーズです(自爆)
皆さんは「まんが『無防備マン』が行く!」というサイトをご存じでしょうか? いやまぁ、お決まりの左翼系ガチガチのサイトなんですが、どうもイデオロギー前面押し出しではなかなか食いついてくれないと思ったのか、女子供に食いつきやすい「反戦」から柔らかく攻めているサイトです。まずは先方の主張をご覧あれ。
「無防備都市」。非常に心動かされる単語です。近代史を歴史を学んだ方には「44年パリ」などが挙げられると思います。「パリは燃えているか」ですね。実際、ドイツ軍は総統の徹底抗戦・破壊命令が出ていたにも関わらず、その命令に反して無防備都市宣言を行い、パリ市街は今もその歴史的価値を維持している訳です。
しかし、このサイトの主張はどう考えても浅過ぎる。本当に政治や歴史を精査して考えたのか?と聞きたくなる位「ザル」です。
無防備マン(笑)の言い分を聞いてみましょう。
彼は無防備都市の根拠にジュネーブ条約の第1追加議定書第59条2項を挙げています。下に書いておきます。
紛争当事国の適当な当局は、軍隊が接触している地帯の付近又はその中にある居住地で敵対する紛争当事国による占領のために解放されているものを、無防備地域と宣言することができる。無防備地域は、次のすべての条件を満たさなければならない。
(a)すべての戦闘員が撤退しており並びにすべての移動可能な兵器及び軍用設備が撤去されていること。
(b)固定された軍事施設の敵対的な使用が行われないこと。
(c)当局又は住民により敵対行為が行われないこと。
(d)軍事行動を支援する活動が行われないこと。
初めに書いておきますが、ジュネーブ条約は基本的に「国対国」の条約です。そして、この条約は「交戦状態にある国家間の戦争行動に対する規範を定めたもの」です。ついでに言うと具体的な罰則などありはしません。当たり前ですが(w
それを踏まえた上で書くと、無防備都市とはまず「相手国による占領」を基礎としています。これは既に売国としか言えない宣言ですね。理由無き開放。最初から「占領してくれ」と言う態度。喜んで占領軍がやってきますね。件のサイトでは「もし、攻める側がこの無防備地域宣言をしている地域としていない地域ならどっちを攻撃すると思う?」「そりゃ・・・宣言していない地域です。」と言わしめていますが、普通の軍隊ならば無防備であろうが無かろうが戦争の勝利により有利な地域への侵攻を行うのが普通なのではないでしょうか?(それ以前に抵抗の無い都市を無血占領する方がよっぽど楽だと思わないのでしょうか?この作者氏は)
そして、無防備都市に対してはあくまで占領軍による「組織的命令による攻撃」に対して規制しようとしているだけで、個々の兵士による無秩序な無法に対しては直接言及していません(ジュネーブ条約本文での言及はありますが、拘束力はありません)。少なくとも旧ユーゴスラビア等を見る限り、そんな事を気にする兵士が皆無ではない事を指摘しておきましょう(治安を維持するもしないも占領軍次第、という訳です)。また、もしそういう状況になっても市民の占領軍に対する抵抗は(c)項に違反する為に禁止されている、という訳です。市民を守れない無防備宣言なのです。実際、過去の戦争に於いても無防備都市宣言を出して成功した所は元々敵の領土であった都市から撤退する場合が殆どであり、逆にドイツのドレスデンは重要な交通の要地だった為に米英空軍の戦略爆撃を一昼夜に亘って受け、公式には35000人、一説には13万人が亡くなっているのです。如何に無防備都市が空しいか、お分かりになりますでしょうか?
そして、ジュネーブ条約は交戦国同士の条約です。つまり、「日本がどこかの国と戦争状態になって初めて生きる条約」なのです。戦争が始まってもいない状態で無防備都市宣言とは一体何なのでしょうか?それこそ「無意味」です。また、無防備都市宣言は基本的に国が宣言するものです(条約を締結しているのは国ですから)。それゆえ、自治体が無防備宣言を国に要請する、という事はあり得ますが、自治体が勝手に無防備宣言をする事は認められません。
首相官邸HPにはこうあります。
【日本政府公式見解】
「ジュネーヴ諸条約の第一追加議定書においては,敵対する紛争当事国による占領のために開放し,特別な保護を受ける地域として「無防備地域」の規定が置かれていますが,その宣言は,当該地域の防衛に責任を有する当局,すなわち我が国においては,国において行われるべきものであり,地方公共団体がこの条約の「無防備地域」の宣言を行うことはできません」
それゆえ、勝手に「無防備都市地域」とやらをつなぎ合わせて世界から軍隊を無くそう、などと言うプロセスは最初から無茶苦茶だと言う事です。(大体、交戦法規を元に戦争放棄を考えるという道筋自体が矛盾しまくり)
まぁ、鎧の下に見える本音は「反政府、反自衛隊」というだけなんでしょうが、あまりにも軍事的基本を見ていなさ過ぎる意見の開陳に我慢出来なくなった訳で。マンガ自体もまるで初期の「サザエさん」の様に古臭い絵柄。決して今の時代の絵では無いでしょう。こんなマンガを将来的に売ろうって考えてる自体が甘過ぎ。コミケ参加の同人作家の方がもっと厳しい選別を経ているぞ(w 今は対反日ブロガー達のおもちゃ扱いされているサイトですが、まかり間違ってあらぬ影響を持たないとも限りませんので、敢えて取り上げてみました。
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