交通博物館の悲しい模型
昨日、仕事が終わった足でまたもや交通博物館へ行ってきました。なんだかんだ言って博物館側も別れを惜しんでいるのか、閉館間際になって色々と新しい事をやっているらしく、普通なら壁で遮っていて全く見えなくなっている1階休憩所の旧万世橋駅ホーム→鉄道博物館直通階段を一部分透明アクリルをはめて見学できる様にしていました。なかなか興味深いものです。特に現在公開している遺構と違ってほとんど人が入っていないせいもあって、その古さが一段と際だって見えました。
そして、前回はあまり見ておかなかった奥の鉄道信号機関係の展示や屋上をのぞいたりしてたんですが、今回はこれまたちょっとスルー気味に急ぎ足で行き過ぎてしまった船舶の展示もしっかりと見てきました。
そこで気付いたのは、資金不足か展示スタッフの専門知識不足か、古い船舶模型の保存状況が非常に悪い事でした。戦前からの展示品でしょうか、大阪船舶からの寄贈品である報国丸(仮装巡洋艦としても有名)や浪速丸(実際には完成しなかった幻の商船)の大きな模型が中央に飾られているのですが、報国丸の船橋天井の甲板がはがれ、大きくめくれ上がっていました。浪速丸もファンネルマークがこれまた大きくはがれ、上構の白塗料はひび割れてこれまたひどい有様。ここまでになる前に何とか出来なかったのか、と心の中で悲しく思っていました。 古い模型だからなのか、と思うと違う様で、船舶模型で有名な籾山船舶模型製作所製作の模型は戦前のものであるにも関わらず特に破損も無く、実にしっかりとしているのですが、どう見ても戦後かなり経ってのものと思われる戦艦武蔵(なぜか高角砲が片舷6基ありますが)の艦底の塗料はバリバリにはがれまくってそれはもう見苦しいばかり。元々この博物館は東京駅に出来た「鉄道博物館」であり、戦後になって「交通文化博物館」になって鉄道以外の収蔵物を集めだした訳ですが、それにしても模型全般に対する保存・修復技術の欠如には悲しまざるを得ません。
ここの所蔵品には日露戦争の頃に作られた帝国義勇艦隊の武装商船さくら丸の模型など船の科学館でもお目にかかった事が無い様な珍しいものもあるだけに(皆さん、帝国義勇艦隊なんて言葉が本当にあったなんて知ってました?私は今日になるまで知りませんでした。さくら丸は国産初の船舶タービンを積んだ船でもあります。)、是非とも重要な鉄道以外の収蔵品は他の専門博物館へ移管してくれる事を期待しています。そして、適切な修復を受けてくれる事を期待してます・・・・・(でも、MU-2の機首なんか多分残らないんだろうな・・・・)
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コメント
現在、古い艦船の模型を修復できる模型会社はほんの数社しか
なく、加えて古い模型の仕様書が無いと修復出来ないのが現状です。
昔の模型は塗料も接着剤も現在あるものとは全く組成の異なるものばかり。
加えて船体の多くはB&B式が多いため、
下手に洗うと反ったり割れたり、やっかいで、同じ大きさの
モデルを新造するほうが安いこともあって、なかなか修復まで
手が回らないのでしょう。
大阪交通科学館も同様で、収蔵庫には何隻もの船舶モデルが
修復の時を待っていました。
交通博物館の船舶モデルは、鉄道連絡船を除いて
「船の科学館」が移管願いを出してあります。同様に航空機関連は成田の
「航空科学館」が移管願いを出したはずです。
あとは交通博物館の理事会がどう判断するかだけなのですが、
「鉄道博物館」に館名を変えるくらいですから無条件で移管
されるのではないかと期待しているのですが。
※交通博物館の「帝国義勇艦隊/さくら丸」は船の科学館の
「梅ヶ香丸」と同型船。船の科学館の梅ヶ香丸の解説プレート
にも「帝国義勇艦隊」の説明は書かれていますゼ。
投稿: にゃおん | 2006/04/10 06:37
木曜日の朝7時過ぎ、午前中に行く予定だった一件が急にキャンセルになったので、ポンと空いた午前中どうしようと思ったところ、ピン!そうだ交通博物館に行こうと思いつき、偵察を兼ねて行ってまいりました。
現地到着は9:20になりましたが、途中中央線の車中より入り口に並んでいる数十人を確認しての、なんともぬるい到着となりました。
遺構入場券の列に並び一番早いのでと言うと「10:40になります」とのこと。
それまでの時間を有効活用すべく、館内をぐるりとスタンプラリーをやりながら見学しました。
実に小学生の時の遠足で来て以来20数年ぶりとなりました。
うっすらと記憶にあった朱色の中央線の扉開閉が出来、車掌気分が味わえるカットモデルや、パンタグラフの昇降もちゃんと残っており、しばし懐かしさに浸っておりました。
館内を廻って思ったのは、交通博物館の建物本体しかり、遺構部分しかり、古いガチッとした造りの建物っていいな~と改めて認識した次第です。
これで自分は辰野金吾氏設計の駅舎である東京駅、朝鮮半島の京城駅(現ソウル駅)、そして駅舎自体は無いものの万世橋駅と3駅に行った事になり、これまた満足です。
遺構を見学した後、グッズ好きの「なか」は売店に寄り、その時点でタイムアップとなり交通博物館を後にしました。
投稿: なか | 2006/04/14 01:21
にゃおん先生>
いやぁ、さすがは専門家。模型の保存がいかに大変かを教えていただき感謝です。それでも先生の様な方がいた船の科学館と比較すると交通博物館の模型は哀愁を感じる程なので・・・
>※交通博物館の「帝国義勇艦隊/さくら丸」は船の科学館の
「梅ヶ香丸」と同型船。
ををうっ、申し訳ありません<(_)> どうやら見逃していた模様。今度夏のフネカンの時にでも再度確認してきましょう。
なかさん>
偵察ご苦労様です。1階休憩所脇の旧ホーム階段は見て来られましたか?あっちはもっと人が入っていないので風情がありますよ(笑)
と言うか、かなり満足されちゃった様で(爆笑)
投稿: みほり | 2006/04/14 19:47
>1階休憩所脇の旧ホーム階段
アイゴ~、ウリは見てこなかったニダ
日帝の作ったものだから見なくてもケンチャナヨ
でもとりあえず謝罪と賠償を! はぁ?
うわ~、見て無いです!
今度案内お願いします。
それにしても古い建物っていいですね。
ここ交通博物館や靖国神社の遊就館、江田島兵学校の教育参考館などなど、実に味があります。
投稿: なか | 2006/04/15 00:02
個人的にはまた旧近衛師団司令部へ行ってみたいです。
投稿: みほり | 2006/04/17 21:33
交通博物館の悲しい模型: 生存証明航海日誌
投稿: Oakley Frogskins Sunglasses Sale Online Shop | 2014/07/09 13:55